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Altair Fekoは、放射・散乱問題、導波路問題、EMCなど、幅広い電磁波問題を対象とする電磁波解析ソフトウェアFekoと、屋外/屋内環境の各種電波伝搬推定のためのソフトウェアWinPropとが一体的に提供されるソフトウェアパッケージです。
Fekoは当初から、スケールの異なる(大規模な)対象が混在する問題(大規模電磁波問題)の現実的な解析にその軸足を置き、ハイブリッド/マルチスケールのアプローチ、マルチソルバー環境を基本コンセプトとしています。2000年に当社が前身FEKOの国内販売を開始して以来、幅広い分野で実績を重ね、アンテナの解析をはじめとする様々な電磁波問題の解析に用いられています。とりわけアンテナ搭載解析等の大規模電磁波解析において高い存在感を示す屈指の電磁波解析ソフトウェアです。
WinPropは、屋外/屋内環境の伝搬推定、屋外-屋内環境の組み合わせや“動き”を考慮した伝搬推定、さらには無線ネットワークのパフォーマンス評価、電磁環境関連基準への適合性評価などの機能を備えた電波伝搬シミュレーションソフトウェアです。標準的な電波伝搬推定モデルに加え、定評のある独自の伝搬モデルを有しており、高パフォーマンスの電波伝搬シミュレーション環境を提供します。Fekoで導出したアンテナ放射パターンやRCS(Radar Cross Section )のデータを用いることによって、より現実的な電波伝搬シミュレーションへと展開することも可能です。
コンポーネントレベルの問題から大規模・複雑問題、比較的低い周波数域の問題から高周波数域の問題など、Fekoはアンテナ解析をはじめとする幅広い様々な電磁波問題の解析に利用可能です。
いかなる解析手法であっても、それ単独であらゆる電磁波問題を扱うことはできません。それぞれの解析手法にはそれぞれの特徴があり、問題のタイプや解析対象に適した解析手法を選択することが望ましい形といえます。アンテナ単体や高周波コンポーネント等の比較的小さな対象の解析にはモーメント法(MoM:Method of Moment)等のフルウェーブ解法を用い、数十波長にもなるような大規模な対象の解析では漸近解法の利用が現実的です。また、ハイブリッド/マルチスケール電磁波解析では、性質の異なる複数のソルバーが用いられます。そのためFekoは、当初から複数のソルバーを備え、そのすべてが “One Product, Multiple Solvers”コンセプトの下、1パッケージで提供されてきました。ソルバーを使いわけて、あるいは組み合わせて用いることで、現実的な解析を行うことが可能となります。
また、同じ問題を異なるソルバーで解くことは、得られた結果の妥当性確認の観点からも有用です。
放射・散乱問題、とりわけアンテナの解析において長い歴史・信頼・実績を有するモーメント法をその基盤としながらも、“大規模”を念頭に、Fekoでは当初からハイブリッド電磁波解析のアプローチが採られています。性質の異なる解析手法の適切な組み合せによって、主にアンテナ単体等のコンポーネントレベルに限定されていた電磁波解析は、それまで困難/不可能だった大規模な対象をも含むマルチスケール電磁波問題へと、その扱いの幅が拡がりました。
ハイブリッド電磁波解析のアプローチでマルチスケール電磁波問題を対象とする初の商用ソフトウェアとして誕生したFekoは、その後のマルチスケール電磁波解析の進展を牽引し(※)、今日に至っています。
※ 開発・商用化の責任者でもあるFEKOオリジナルコード開発者が、その功績によりIEEE Fellowに認定
電気的サイズが大きな対象を含む解析は、標準的な MoM 等のフルウェーブ解法では困難/不可能な場合が少なくありません 大規模な解析対象に対しては次のような機能を用いることで 現実的な解析を行うことができます。
CMAは、通常のMoM解析とは異なり、解析対象の構造(形状・サイズ)にのみ依存する共振現象に着目した解析を行うものです。Fekoは、2012年に商用電磁波解析ソフトとして初めてCMAを実装しました。MoMインピーダンス行列を用いて電流分布に関する固有モード解析を行うことにより、その構造において生じ得る共振モードに対応する固有値、固有モード電流が導出されます。そして、各モードの寄与の状態や、対応する電磁界分布、放射特性等の情報を得ることができます。
CMAを用いることで、例えば特定のモードで動作するアンテナの最適な形状や給電構造、設置位置等の検討を、アンテナの動作や放射メカニズム等に関する物理的な洞察に基づいた体系的なアプローチで行うことができます。
ケーブルをそのまま3Dモデリングして解析を行うことは現実的ではありません。そのため、ケーブルの定義(種類,断面構造,経路の設定)を行うモデリング機能と、ケーブル問題を解くための専用ソルバーを備えています。
ケーブル解析には、通常、MTL(Multiconductor Transmission Line theory) が用いられますが、MTLは、電流帰還経路となる導体面がケーブル近傍に存在することが前提となっています。FekoではMoMとMTLを組み合わせた独自の手法によってこの制約の問題が解決され、MTLのみでは実施できない複雑なケーブル問題を扱うことが可能です。
アンテナ導体と複数層構造のガラスとで構成されているガラスアンテナのモデリング/解析もまた、必ずしも容易ではありません。Windscreenアンテナ機能を用いることで、ガラス部の多層構造や湾曲を考慮しつつ、ガラス部の要素を用いることなく、導体部の要素のみで解析を行うことができます。
Altair PollExで導出したプリント基板(PCB)の電流データを取り込み、等価波源として用いることで、PCBからの放射ノイズに関するシステムレベル解析へと展開することができます。
評価対象のエリアスケール(広域/中域/小域)によって、電波伝搬推定のアプローチは異なってきます。そのため、それぞれの状況に適したシナリオ(シミュレーション環境)が必要です
推定対象の規模が一般に広域である、郊外域・農耕域・山間域等の非都市域(Rural/Suburban)の伝搬推定では、地形や土地の利用状況が電波伝搬特性を決定づける要因となります。屋内環境(Indoor)は、推定エリアが比較的小さな規模である一方、天井や床、壁、什器等の影響により複雑な伝搬環境が形成されることから、詳細なシミュレーションモデルが必要とされます。都市域(Urban)については、立ち並ぶビル等による多重反射や多重回折の考慮が不可欠です。しかし、屋内環境のような詳細なモデリングは現実的ではなく、確度が高く、かつ、能率的な伝搬推定を実施するためには、非都市域と屋内環境の中間的な扱いが必要となります。
WinPropは各エリアスケールにそれぞれ対応したシナリオ(Rural/Suburban、Urban、Indoor)を備えており、適切なシナリオを用いることにより、各種の屋外/屋内電波伝搬シミュレーションを行うことができます。
広域スケール Rural/Suburban シナリオ
中域スケール Urbanシナリオ
小域スケール Indoorシナリオ
WinPropは、伝搬シミュレーションと無線ネットワークシミュレーションの2つのモードで利用することができます。
伝搬シミュレーションは、電波伝搬推定(伝搬損失/伝搬遅延/LOS 等の推定)を目的とするものです。無線ネットワークシミュレーションでは、まず伝搬シミュレーションを行い、その結果に基づいて、対象とするエアインターフェースに関する無線ネットワークの諸特性(カバーエリア/受信確率/最大データレート 等)の評価を行うことができます。
Hata-OkumuraやCOST 231 Multi Wall等の一般的、標準的な伝搬モデルに加え、WinPropは独自の伝搬モデルであるIRT Intelligent Ray Tracing および DPM Dominant Path Modelを備えています。 これらにより、電波伝搬推定/無線ネットワーク評価において優れたパフォーマンスを提供します。
IRTは、観測点や各壁面との間の可視性関係を事前に処理・保存しておき その情報に基づいて高速な推定を行うレイトレーシングです。 IRT発表当時 標準的なPC上で実用的な3Dレイトレーシングシミュレーションを行うことはIRT以外では事実上不可能でしたが、IRTはこれを初めて実現した実績があります。
DPMは、送信機から受信機への伝搬エネルギーのほとんどを占める支配的な経路(Dominant Path)を導出するものです。経由(反射/透過)する壁面および伝搬していく空間(室内等)に注目すると、レイを幾つかにグループ化して捉えることができます。Dominant Pathは、その各グループを代表的に表すものと位置づけられます。レイトレーシングに比べてシミュレーション時間の大幅な短縮が期待できるため、例えば大規模な多層階建物内のカバレッジ予測に対する理想的なアプローチとなります。
※IRT、DPMは、ともにBest Paper Award受賞の実績を有する、学界においても評価された伝搬モデル。
屋外から建物内への電波の侵入や、屋内から屋外への電波の漏洩などの推定では、どのようなシミュレーション環境(シナリオ)で実施するのかが問題となります。屋内向けシミュレーション環境は、屋外環境の扱いに適したものとはいえません。屋外向けのシミュレーション環境では建物内部の構造等を考慮することができません。そこで、屋内、屋外向けのそれぞれの伝搬推定を組み合わせるHybridシミュレーション環境が用意されています。これにより、確度の高い「屋外 ⇔ 屋内」のシミュレーションを行うことが可能です。
移動する車両上の送信機/受信機周辺の障害物等の間の相対的な位置関係は時間とともに変化します。WinPropでは、そうした動きを考慮した電波伝搬推定/無線ネットワーク評価が可能です。
Fekoで導出したアンテナ放射パターンデータを WinProp に取り込み、送信/受信アンテナに用いることができます。また、複雑な形状を有する対象(車両等)を直接扱う代わりに、そのRCS特性データで置き換えたシミュレーションを行うことも可能です。